約1ヶ月程前、ホームページを通して、あるCMソングのお話をいただきました。
たいていは、まずデモ作り(曲を仮録音すること)から始めるのですが、そもそも曲がないとデモは作れないので、今回は曲作りから始めました。
依頼主からテーマや雰囲気などを聞いた後に、まずどんな曲が合いそうかイメージを膨らませていきます。
私の場合は主にギターを弾きながら進めていくのですが、大体出だし(イントロ)が決まるとほぼ8割方は完成しています。
この時点では映像はまだありません。絵コンテや打ち合わせでのメモの中にヒントを見つけて作っていきます。
今回は曲作りからデモ作りまで、2日間で3曲仕上げることができました。
3曲とも全く異なる曲調で作りましたが、 気に入ってもらえるものがあるか、そもそもこの程度のデモで大丈夫なのか 内心期待と不安でいっぱいでした。
(とは言っても、もし気に入ってもらえるものがなかったら、また一からいくらでも作る気持ちではいましたが。笑)
運良く3曲中2曲気に入って頂くことができ、その後1曲に絞られたのですが、ここからのアレンジが思いの外大変でした。
デモはギターと歌だけで仕上げていたので、そこに何かを足していきたいけど、何をどう足していけばもっと曲が良くなるのか、ただただ試行錯誤を繰り返していました。
このアレンジ作業は年明けにまで持ち越されましたが、 そうなるといよいよ迫ってくるのが締め切りです。 (でも不思議と焦りはなく、後半の思いがけない思いつきが一気に事を運んでくれました!)
ようやくアレンジが決まり、いざ本ちゃん録り。
と、ここで登場するのがタイトルの「やかん」です。
この日、沖縄はとっても寒かったのです…。
が、ただただ寒さを凌ぐためのやかんではありません。(いや暖かくはなりましたが、笑)
実は、ギターのレコーディング時に寒さのせいなのか、音がとても乾いて聞こえて、思いついた応急処置が「やかん」でした。
「乾く」なら「加湿」だ‼︎
と意気込んでやかんを沸かしました。そしてそのままやかんの蒸気をギターへ。
色々位置を変えながら、結局落ち着いた場所がギターの真横下でした。
それから別の部屋で付けていた暖房の空気もこちらに運んでこようと思い立ち、ストールの両橋を掴み頭上に掲げ、部屋と部屋の間を駆け回ったりしました。
ギターを弾く時間よりも、一体何をしているのか分からない時間の方が長くなりました。
そうこうしながら弾いてみると、ギターの音がやっぱりちょっと変わった(?)ような気がしました。
前置きが長くなりましたが、今回書きたかったネタはこちらでした。 (もしかしたら、世の中のミュージシャン達はみんな、こういう事やってたりするのかな?!と一瞬よぎりました。一瞬よぎってちょっとだけ仲間入りした気分でニヤリとした後に、すぐに気づきました。きっと普通は、(ご存知の方も多いと思いますが)「スタジオ」という万全な場所でレコーディングを行っています。私もあるならスタジオがいいです。もしそこにあるなら、絶対スタジオの方がいいに決まっています。宅録は色々と気を遣うものですから(冷蔵庫の音とか時計の針の音とか)…いつか宅録あるあるについては「宅ある」というタイトルで書きたいと思います。)
…
やかんのおかげもあって、レコーディングは無事に終わりました。
そして本日、MIX作業(ギターとか歌とかその他のパートの音のバランスの調整等をする作業で、専門のエンジニアの方が行います。)の確認も無事に済み、曲を依頼主へお送りしました。
あとは、CMの完成を楽しみに待つのみです。
きっと、うまくいきますように!
tidanomiyuki